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日本人は英語の語彙(ボキャブラリー)不足なのか?ー廣津留真理さんの英語育児方法

管理者

さてつい最近、「FRAU」にて、こちらの記事がアップされました。

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書かれたのは廣津留真理さんで、あのテレビのコメンテーターもされている廣津留すみれさんのお母様です。

廣津留すみれさんは大分の公立の学校で育ちながらも、あのハーバード大学に現役合格し、首席で卒業されたことで有名です。

上記の記事では、特に語彙について触れられているので、今回はそちらにフォーカスしてみます。

記事には、こうありました。

英語のネイティブスピーカーの成人が習得しているとされる英単語数は2~3万語と言われています。ただ現在、日本の学習指導要領で、高校卒業レベルまでに覚えるべきとされている英単語は、4000~5000語です。これではまだ英検2級レベル。英検2級というのは、ネイティブの小4レベルです。このはるかに不足している単語数は、家庭学習など自力でカバーするしかありません

「FRAU」2023.08.12

実際のところ、日本人が学校で学ぶ語彙数は近年かなり増えているのですが、皆さんご存知でしょうか?

こちらをご覧下さい。

見ると、英語教育の方針に右往左往していた文科省が、2020年以降、急激に語彙力アップに舵を取っているのが分かります。

ただ、この時点でも、高校卒業時(5,000語)はネイティブの小学四年生レベルなので、廣津留さんはそれでは全く足りない、と危機感を持たれているわけです。

私は英語に限らず、「教育」とは「逆算」だと思うのです。

例えばある高校に行きたいとすれば、そこの偏差値や必要な内申点を調べ、受験までにどこまで学力を上げておくべきなのか、そのためにはいつから何を始めておかないといけないのか。そして、日々成果をチェックし、継続の工夫を図る。

すみれさんがうまくいかれたのは、本人の頑張りはもちろん、このお母様の卓越した「逆算能力」が功を奏したのだと思います。

うまくできなくてもダメ出しせずに、できたところを100%ほめる。「わかった?」「覚えた?」といちいち試したりせずにニコニコ笑顔で見守る。ひろつる式の英語レッスンでは、この安心できる環境作りをしたうえで、英語経験まったくゼロのお子さんにも、いきなりプラス1の負荷をかけ、週1回75分のクラス+家庭学習で、1週間100個のペースで英単語を覚えてもらいます。そうすることで、幼稚園児が英検3級(中学卒業レベル)や準2級(高校中級レベル)に合格したり、小学生が準1級(大学中級レベル)に合格したり、といった例が続出しているのです。

「FRAU」2023.08.12

見据えているところが、やはり「異次元」ですよね。学校教育を全く計算に入れていないところが、もはや痛快でもあります。

さて、一方で「日本人は最低でも中高6年、学校で英語を習ったのに、ネイティブを前にしても、全く喋れない」「映画やドラマを見ても、全く聞き取れない」という、昔からの定番の批判があります。

そういう大人世代はかなり昔に英語教育を受けたわけなので、上の表から推察すると、中高で約「3,000語」を習ってきたわけです。

これは廣津留さんも触れていますが、俗にネイティブスピーカーの成人は、一人当たり約20,000~35,000語の語彙を持っていると言います。

約3,000語の日本人と、その10倍の約30,000語のネイティブが対等に話せるでしょうか。そしてネイティブ同士の会話(映画やドラマ)を、全部聞き取れるでしょうか?

その答えは、小学生でも分かります。

そう、土台「無理」なのです。劣って当然です。

日本人の声
日本人の声

いやいや、そんなことを言ったら、ヤル気がなくなるじゃないですか?

そう思われるのも当然ですし、ヤル気を削ぐつもりも私は毛頭ありません。

ただ、分かって頂きたいのは、「ネイティブのようにペラペラ話せる」というのは「ちょっとやそっとの付け焼き刃や便利フレーズなどを覚えれば、すぐに到達できる」というものではない、ということです。

私が「ペラペラ」という言葉を使うのが好きではないのは、そのためです。挫折しやすくなるのです(特に初心者には使いたくありません)

そしてもしも将来、「ネイティブと対等に英語を使って生きていく、仕事をしていく」というのが目標なのであれば、やはり廣津留さんのように学校に任せるのではなく、幼いうちから家庭学習でもやっていかないと間に合わない、ということは確実です。

そしてもう大人になってしまった場合は、じっくり腰を据えて、少なくとも数年掛けないといけないことを覚悟しないといけない、ということでしょう。

俗に「発音さえ完璧にすれば、英語は全部聞き取れる」という声も各所で聞いたりしますが、それは絶対にありえません。なぜなら、単語を知らなければ、聞き取ることは不可能だからです。そして、単語の意味を知らなければ、もちろん理解できません。「音」と「意味」は別に考えないといけない。

注意!

聞き取れないのは発音だけの話ではなく、今までの語彙の蓄積不足も大いにあるはずです。日本の英語教育が全く「逆算」できていない。元々社会人になったら、「英語で苦労する設定」で出来上がっています。

そして「話す」ことに視点を向けると、練習を何もやってこなかった方は、まずはペラペラではなく、向こうの幼児と同じくらいのレベルで話せるようになることを目指すのが、やはり挫折しにくい目標になると、私は思います。

俗にネイティブの5歳児は「700~1,000語」で話している、と言います。つまり、中学生で習う単語数ですね。

ほら、ピッタリですね。

「中学英語が話せれば、英語は話せる」というのは、このことです。

この語彙レベルを保持している方は、まずはここを使えるようにすることが先決です。オンライン英会話などを使って、英文法を駆使して、「話す練習」をする。ここで5歳児レベルの話ができないとしたら、どれだけTOEICや英検などで新しい単語を覚えても、「話す」には直結していきません。

そしてこのレベルに入った方は、ここから語彙を増やしながら、徐々に話せるレベルを上げていくのが一番健康的でしょう(俗に仕事で英語を使うなら、約8,000〜10,000語が必要と言われます)

まとめ

日本人は中高6年やってきても、語彙レベルはネイティブスピーカーの「1/10」程度なので、そもそも「聞く、話す」で敵うわけがない。対等に話せるようになるのを目指すのであれば、学校教育に頼らず、そしてそれに満足せず、コツコツと自学で積み上げていく必要がある。

ただ、中学で習ったレベルの語彙数はネイティブスピーカーの5歳児レベルであり、それで十分話せるのも事実です。まずはそれを使えるようにするのが「話す」に向けて、最優先に行うことになる。初心者の方はまずはそのレベルを目指す。そしてその上で、新しい語彙を積み上げていく。

語学習得とは、確実に「年単位」の努力になってくるので、読書などはもちろん、何を使うかも考えつつ、廣津留さんのように上手く「逆算」できればなあ、と思う次第です。

大変ですが、頑張って英語学習を継続させていきましょう。

こちら、廣津留真理さんの新刊になります。興味のある方は読んでみて下さい。

ABOUT ME
金沢優
金沢優
英語講師、小説家
石川県出身。上智大学法学部国際関係法学科を卒業後、マスコミ業界へ。

その後、学習塾、英会話スクール教室長、大手英会話スクールの本部勤務を経験。その中で、日本の英語教育の「大きな問題点」に気付く。

2017年、脚本賞を受賞した「もしも高校四年生があったら、英語を話せるようになるか」を幻冬舎より出版(重版4回達成)「英語に失敗した大人世代」から大きな共感を得る。

現在は一般企業にて英語を使って働きながら、主にInstagramを通し、学び方についても発信中。その他にも講演会の実施やテレビ出演など。
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