英語という「教科」から、英語という「言葉」へ

「もしなる」とは?

「もしも高校四年生があったら、英語を話せるようになるか」

一体、この国の英語教育は正しい方向に進んでいるのだろうか。私はため息を吐きながら、CDをかけた。ネイティブが発音する教科書の本文が流れ始めた。スピードがめちゃくちゃ速い。ところどころ聞き取れなかった。馬鹿じゃないだろうか、私。誰か私を救って。英語のない世界に連れて行って。無理ならもう一度鎖国をして。東京オリンピックなんて、いらない。(文庫本P27)

英語が話せない英語教師、桜木真穂は2020年に向けての英語教育改革に、頭を悩ませていた。そう、教師は全て授業を「英語で」で行わなければいけなくなってしまったからだ。

学生時代、受験英語はよくできた。しかし、「話す」方はからっきしダメ。どうすれば話せるようになるのか、「やり方」が分からない

スクールも幾つか通ったけど、失敗ばかり。一方的に話されて、終わり。やっぱり英語圏に住まないと、英語は話せるようにはならないのだろうか。

そんな折、真穂は偶然、ある英会話教室の看板を目にした。そして、そこにはこう、書かれてあった。

「もしも高校四年生があったら、英語を話せるようになると思いますか?」

どういう意味だろうか。真穂にはそのフレーズが、妙に気に掛かった。

そう、たとえもう1年、学校で習ったとしても、きっと英語は話せるようにはならないだろう。なぜなら、ネイティブとの授業などほとんどないのだから。なぜそんな当たり前のことを書くのだろう。

気になった真穂は、週末、その英会話教室に足を踏み入れる。

しかし、そこは今までに真穂が経験したこともない、とても型破りな英会話教室だった。

「お前たちがやっている勉強は所詮お勉強だ。テストのための英語だ。使うための英語ではない。ダメだ、英語なんてお勉強していては。もう、使うものなんだ。もう、そういう時代だ。明治時代から何百年寝ているつもりだ。いい加減、目を覚ませ。いいか? 言語とは何だ? 言う、語る、だ。お前たちが学校で教えているのは何だ? 言えないし、語れない。では、言語ではない。言語ではなかったら何だ? お前、一体何を学校で子供たちに教えている?」(文庫本P79)

そこの学院長・吉原龍子から言われた、この痛烈な一言に、真穂の心は揺れ動く。

私たちが学んできた、いや、今も学んでいるのは「言語」ではなかったのだろうか。

今まで英語が話せないのは、ずっと「アウトプット」の問題だと思っていた。ただ単に「国内には話す環境がないから」だ、と。

しかし、もしも「インプット」に致命的な欠陥があったとしたら?

そのせいで、大人になってからも、どれだけ勉強しても「アウトプット」できなくなっていたとしたら?

そもそも、「言葉」って何なんだろう。

そもそも、「話せる」って何なんだろう。

どこで私たちは、英語教育のボタンを掛け違えてしまったのだろうか。

「英語を話せるようになる」ために必死に勉強をしてきたはずなのに、どうして、「話者」に近づけないのだろうか。

どうして、何年勉強しても、向こうの幼児にすら、敵わないのだろうか。この日本で、一体何が起きているのだろうか。

英語ハウツー本でもありながら、小説仕立てでもある「もしなる」

「英語を話せる」をゴールに置いて英語を勉強されている方は、単語帳や文法書を買う前に、一度この物語の主人公・桜木真穂と、英会話講師・吉原龍子と葛城有紀に出会ってください。

私たちに何が起こってしまったのか、身を以て、経験できます。

「もしなる」は、教育業界や英会話業界を経験し、「英語と日本語」の狭間でもがき続けてきた著者が送る、脚本賞受賞作の『英会話小説』です。

「もしなる」を読まれた方からのレビュー

以下ですが、師範代Shinya先生からの紹介のYoutubeです。分かりやすく、紹介して頂きました。

また、多くの方が「もしなる」を紹介して頂きました(順不同)

Brighter 松井博様
りょうすけ様
kazu様
しゃーないSE様
へっどないと様
本シュルジュ様
英語イメージリンク様
活かす読書様
風竜胆様
小林広雄様(英会話コーチ)
理系書評様
れびゅー様
BJRYO様
豊山町こども英会話教室様
English Information’s 様
一龍様
ひろ様
Any様
本田英寿様
私とオンライン英会話サイト運営者・takさんとのインタビュー記事

その他、Twitterなどでもご意見を沢山頂いております。

よければTwitterなどで「もしも高校四年生があったら」や、インスタグラムで「#もしなる」などで検索されてみて下さい。読者の方の、リアルな声を聞くことができます。サクラじゃないことが分かると思います。

過去を振り返れば、まだまだあるのですが、最近のツイートのみをご紹介しました。

そしてその他アマゾンや、楽天、色んなサイトでも声を上げて頂きました。お書き頂いた方、本当にありがとうございました。

一体、日本の英語教育に何が起きているのか?

「もしなる」の発行部数はたった5000部です。ベストセラーでもなんでもなく、大型書店に1冊ほど、ひっそりと売られています。

それなのに、どうしてここまで声を上げて頂けたか。

それは恐らく、「一人の日本人」として共感してくれたのだ、と思っています。

きっと、読者さんも「主人公・桜木真穂」と同じ苦しみを経験されてきているはずです。もちろん、私もその一人です。この気持ちやコンプレックスは、学校で英語を習ってきた日本人にしか分からないものです。

ネイティブや帰国子女には、理解できようもありません。なぜならこの苦しみを「経験」していないのですから。

さて、この時代、もう世界との距離はありません。

クリック一つで、世界と繋がってしまいます。街を歩けば、外国人だらけです。2020年の東京の夏は、場所によっては比率が逆転するほどになるでしょう。

「もしなる」でも書きましたが、これは黒船がもう一度、逆方向からやってきたのと同じインパクトです。

そのため、生きている以上、日本にいても英語は必ず人生のどこかで関わってきます。

「日本なんだから、日本語で話せ」「英語は文字さえ訳せればいい」「英語なんて話せなくてもいいや」は、通用しない時代になったのです。

英語を「使う」需要は、まるで黒船のごとく、ある日「いきなり」やってきます。

年収だって、英語を話せる、話せないで数百万円は変わってくると言います。

もちろん、世界に出るときも、その共通言語は「英語」です。

せっかく人生の貴重な数年間をかけて習ったのであれば、そして今も習っているのであれば、そしてこれから習うのであれば、それは絶対に「使える」ものでなくてはならない。

英語指導者の役割は昔と違ってこの時代、生徒たちを「聞ける・話せる」に持っていく、道筋をつけておくところにあるはずです。

100年前と同じゴール設定(訳せる、文法問題が解ける)、そして同じ教え方をすれば、子供たちが将来、苦しむことになります。絶対に迷います。そして、業者にも騙されます。今の大人のように、英語に人生を振り回されます。

そしてその時、「学ぶ方向性が違っていた」と気づいたところで、もう手遅れかもしれないのです。なぜなら、語学の習得は数年以上はかかってしまうのですから。

私は「短期間でペラペラになれる、聞き流していれば話せる」などという嘘は、口が裂けても、お金を積まれても言えません。

そもそも、冷静に考えてみましょう。

英語の学び方が100年以上、動いていないのは、明らかにおかしいと思いませんか?数十年前のテキストが、パッケージだけが変わり、全く同じ内容が書かれているのです。

文法書も単語帳も問題集もほぼ一緒です。少なくとも私が学生時代だった頃から、数十年は動いていません。それは、受験生も塾講師も経験した私が、一番よく分かっています。

リスニングやスピーキングがなかった昔と、全く同じやり方で英語が教えられているのです。それでは今の大人のように、聞けなく、話せなくなって当然でしょう。

このままであれば、今後はもっと日本は「ガラパゴス化」していきます。日本の発展を、「言葉の壁」がせき止めます。

子供たちはもちろんですが、大人の方は必ず「もしなる」を読んでみて下さい

「どうすれば話せるようになるのだろう」と走る以前に、「自分たちが受けてきた英語教育が何だったのか、何のために生まれたのか。どうしてあんなに勉強したのに、何も話せるようにならなかったのか」に目を向けるべきです。

それを目の当たりにすることから、初めて「話せる」に向けて、軌道修正ができるはずです。

どうか、この物語が、皆さんの心に届きますように。

日本人が学んできた英語は「言葉」だったのか?


完全版・増刷版】は文庫本のみです。
書店、もしくは幻冬舎(03-5411-6222)までお問い合わせお願いします。
電子書籍でも初版版が購入できます。