「(人)にお話を読んであげる」は「read a story for someone」?「read a story to someone」?
「to」型と「for」型の動詞の性質の違い
答えは「to」になります。
よく「to」を使うパターンと「for」を使うパターンに分かれますが、動詞の性質に違いがあります。
まず「to」を使うもので、一番有名なものは「give」でしょう。
I gave a present to my mother.
(私は母にプレゼントをあげた)
「give」は相手に与える行為です。渡す相手がいなくては「give」できません。
このように、相手に到達しないと成立しない動詞は「to」で繋ぎます。
He showed his drawing to his teacher.
(彼は先生に自分の絵を見せた)
「見せる」意味の「show」も同じですね。相手がいなければ、そもそも「show」することができません。
そもそもながら、「to」は到達点が高い前置詞で、例えば「I went to Tokyo.」であれば、既に東京に着いたニュアンスになります。
こうして「to」は、上の「give」や「show」のイメージからも分かるように、ピタッと相手にくっつく感覚があります。
一方、「for」は相手がいなくても成立する動詞に使います。
She bought a sweater for her boyfriend.
(彼女は恋人にセーターを買った)
この場合、彼女の恋人に向けて買ったわけですが、別にその恋人に渡らなくても構いません。このように「buy」は、商品が誰かに届くところまでをカバーしていないのです。
She’s picking a flower for her mother.
(彼女は母に花を摘んでいる)
「pick」も同じですね。母にあげるために摘んでいたとしても、渡るニュアンスまではカバーしていません。そして、渡す時に「give the frower to her mother」となるわけです。
そもそもながら、「for」は到達点が低い前置詞で、例えば「I left for Tokyo.」であれば、「東京に向かった」意味になり、到達したかどうかは分かりません。向かっただけ、のニュアンスです。
そして、ここも大事なポイントなのですが、上の「give/show」は「渡す側」と「渡される側」の両者が存在しており、モノや情報などの「移動」が伴っています。
一方、「buy」や「pick」はその場で完結しており、モノや情報などの「移動」がありません。
ではここで問題に戻りますが、「read」はどちらのパターンの動詞でしょうか?
もちろん、読むことは一人でもできます。相手がいなくても成立する動詞です。
そのためこの場合、「for」を選びがちになるのですが、人に物語を読んであげるのであれば、物語の「移動」が伴い、「read a story to 人」で表すのが一般的です。
The teacher read a story to us.
(先生は私たちにお話を読んでくれた)
もちろん、相手(us)にもピタッと到達していますよね。これは正しく「to」の感覚です。
そうすれば自然と感覚が付いて、「あ、この場合は”to”の方が自然かなあ」などと選べるようになってくるはずです。それが一番、理想的です。
以上、「read a story to 人」について、でした。