私たちはゲームに「exciting」したのか?

以前、テレビを見ているとアナウンサーさんが「白熱した試合に、私たちはエキサイティングしました」と言っていましたが、これは文法的に合っているのでしょうか?
英語と日本語の「感情の捉え方」の違い
よく私たちが間違う英文法の一つに、「exciting」と「excited」の混同があります。
まず「excite」という動詞は「…を興奮させる」という意味です。
そして例えば試合が面白かった場合、その試合自体は「…ing」をつけて、「exciting」で表現します。「興奮させるもの」のニュアンス。
The game was really exciting.
(そのゲームはとても面白かった)
その一方で、英語の世界では、私はそのゲームによって「excite」な状態にさせられた、とも考えます。
それが「excited」であり、このように本人の感情は「…ed(受動態)」で表現します。
I was really excited watching that game.
(そのゲームはとても面白かった)
この感覚は日本語にはありません。というのも、日本語は「感情」と「その原因」の関係が薄いからです。
それが証拠に「その試合が私を興奮させた」と言うと、誰もが違和感を覚えるでしょう。
それよりも、「その試合は面白かった。だから、興奮した」と切った方が自然です。このように、日本語はそこをダイレクトに繋ぎません。
日本人が「exciting」と「excited」を混同してしまう原因は、日本語にない感覚だからです。
同じ例で、「surprise」があります。「…を驚かせる」という意味。
これも「驚くべきニュース」であれば「surprising」で表現し、聞いた本人は「surprised」で表現します。
The news was surprising.
I was surprised at the news.
「感情を呼び起こす原因のもの」は「…ing」形で、「感情を呼び起こされた人」は「…ed」形で表すことに注意しましょう。
そのため、「白熱した試合に、私たちはエキサイティングしました」はおかしな表現です。試合自体が「exciting」であり、私たちは「excited」したのです。
テレビでも、かなり言い間違えられています。
その他の気を付ける表現
bore
…を退屈にさせる
The class is boring.
(その授業は退屈だ)
I’m bored.
(あー、退屈だ)
⚠️これを「I’m boring.」と言うと、「私はつまらないやつだ」の意味になります。
interest
…に興味を持たせる
Science is interesting.
(科学は面白い)
I’m interested in art.
(私は芸術に興味がある)
⚠️これを「I’m intresting.」と言うと、「私は面白いやつだ」の意味になります。
その他にも「disappoint(…を落胆させる)」「tire(…を疲れさせる)」「amaze(…を魅了する)」「embarrass(…を困惑させる)」「satisfy(…を満足させる)」「confuse(…を混乱させる)」などがあります。
「…ing」形と「…ed」形を混同しないよう、気を付けましょう。