「現実と反すること」を仮定する表現ー「仮定法過去」
「仮定法」とは現実に反する妄想
答えは「were」になります。文法用語だと、「仮定法」ですね。
一般的にこの「仮定法」は日本人にとって、一番難しい文法事項だと言われています。
ではなぜ難しいかというと、それは日本語と「コンセプトが大きく違うから」だと思います。
例えば日本語では、「もしも明日雨だったら、遠足は延期になるだろう」という文と、「もしも自分が大金持ちだったら、宇宙に旅行に行くだろう」という文は、同列で考えます。
しかしながら、英語では「If it rains tomorrow, the field trip will be postponed.」と「If I were a millionaire, I would travel to space.」で表現します。
二つの違いは「時制」です。二文目は「過去形」を使っています。
上のように日本語はどちらも同じ時制ですが、英語は現実に起こりそうな場合は「現在形」で表し、現実に起こりそうでないものや現実と相反するものは「過去形」を使うのです(この用法のことを「仮定法過去」と言います)
If I were a millionaire, I would travel to space.
(もしも自分が大金持ちだったら、宇宙に旅行に行くだろう)
ではどうしてここに「過去形」が出てくるのかというと、過去形は「距離」を表すところに、理由があります。
例えば「君のことが好きだったよ」と聞けば、今は自分のことが好きじゃないんだなあ、とグーンと距離を感じます。
このように、過去形の役割とは、「今、現実」を切り離し、距離を置くところにあります。
そしてこの特徴が仮定法に適用されています。
つまり、「if」で始まる節が過去形であれば、「あ、これから現実と反する妄想を前提に話をするんだな」と相手にシグナルを送れるわけです。
そして文法上のルールとしては、主語が「I」であろうが、どんな場合も「be動詞」は「was」にはならず、「were」にし、続く主文の推量の助動詞も「would(could、might)」と時制を過去形にします。
例文を紹介します。
- If he were here, I could explain to him myself.
(もしも彼がここにいれば、私が説明できるのに) - If you were a cactus, I‘d endure all the pain just to hug you.
(もし君がサボテンだったら、君を抱きしめるためにどんな痛みにも耐えるだろうね) - If I had a chance to go to Japan, I‘d take it like a shot.
(もしも日本に行けるチャンスがあれば、すぐにでも行ってみたい)
いずれも、「実際はそうではない」ということを表していますよね。
このように、基本的に私たちが苦手とするものは、「英語と日本語のコンセプトがかけ離れている項目」に限られてきます。
仮定法はその一つになります。一つひとつ、着実におさえていきましょう。