「私の友達」を英語で言うと?ー「a friend of mine」の感覚
なぜ「a friend of mine」という表現が必要なのか?
答えは「a friend」になります。
まず、「friend」は可算名詞です。
英語は「数えられるもの」を無冠詞で使うことはできないため、(A)の「friend」は文法的に間違いです。
そして、ボブはもちろん一人なので、「friends」も数が合いません。そのため、(C)の「friends」も間違いになります。
そして、ここで「a friend of mine」という表現について、英文法のおさらいをしておきましょう。
よく日本人は「ボブは私の友達です」から「Bob is my friend.」としがちです。
しかし、それだと「友達がボブしかない」というニュアンスになってしまう、という説明をどこかで受けたかもしれません。
なぜそうなるかと言うと、「my」を使うと、「私の唯一の」という限定感が滲んでしまうからです。
Welcome to my home.
(私の家へようこそ)
普通、家は一つしかありません。沢山ある中の一つの家だとは、誰も思いませんよね。
他の「my」の例文を見てみましょう。
- My mother and I both love to dance.
(私の母と私は共にダンスが好きです) - I enjoy my job very much.
(私は自分の仕事を楽しんでいます)
母も仕事も、数量的に「一つ」を想定しています。
しかし、友達はどうでしょうか?
そう、普通は一人ではなく、沢山いるはずです。
そして沢山ある中の一つ、というニュアンスを出したい時に使うのは、不定冠詞の「a」です。
そのため、本来であれば「a my friend」といきたいところなのですが、文法のルール上、「a」と「my」は同時に使うことができません。「my」は「the」と同じで、共生は不可能です。
では、どうすれば「沢山存在している中の、私のものの一人」と表現できるかというと、「a friend of mine」にすれば解決です。
そうすれば、文法的にもニュアンス的にも間違いがなくなります。
なぜこのようなややこしい構造になっているかというと、英語は唯一のものなのか、それとも沢山ある中の一つなのかを、日本語とは違ってしっかり区別する言語である、というところにあるでしょう。
「of+所有代名詞」のパターンを少し紹介しておきます。
- She is a distant cousin of mine.
(彼女は私の遠いいとこだ) - It’s a favorite game of theirs.
(それは彼らのお気に入りのゲームなんだ)
どうでしょうか。
このように表現することで、遠いいとこも複数人いたり、お気に入りのゲームも複数あることが、暗に伝わってきますよね。
もちろん、口語では「a friend of mine」と毎回毎回言わず、普通に「my friend」などと使われてはいますが、なぜネイティブが「a friend of mine」という表現を産み出さないといけなかったかが分かれば、幸いです。「私の母」と「私の友達」の感覚は違うのです。
以上、「a friend of mine」について、でした。