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8、光と風の少年
「じゃ、じゃあ有紀はどうしろ、と言うんだ。学校で英語の授業をしなければ、話せるようになると言うのか?」
「いや、違います。学校の教科から英語を取り外すのは、世界の流れにも逆行していますし、入試制度的にも難しいでしょう。そして、そうなると、事態はもっと悪くなりますよ。なぜなら教科から外すと、日本人は英語の勉強をしなくなるからです。今、僕たちがある程度、英語を理解できるのは、義務教育に英語が組み込まれているからですよ」
「でもお前はさっきから、学校英語の批判ばかりじゃないか?」
「そうです。でも僕は別に、英語教育を『するな』とは一言も言っていませんよ。ただ、そのコンセプトが昔からずっと動いていないから、『変えるべきだ』と言っているんです。あまりにも、国家レベルで『時代のニーズにそぐわない完成品』が出来上がっている」
「どんなコンセプトだ?」
「英語を理解しようとしています」
「? ・・・いいじゃないか、理解しても」
「いや、違うんです。『理解がゴール』になっているんです」
「何?」
「言うでしょう? 日本人はみんな。英語を勉強したら、『分かりやすいです』って」
「それの何が悪いんだ? 分かりやすいのは、いいことじゃないか?」
「じゃあ、日本語は分かったから、話せるようになったんですか?」
「何?」
「この日本語、分かりやすいな、となったから話せるようになったんじゃないでしょう? 日本語が話せるようになったのは、今までずっと日常の中で口を動かして、『言ってきた』からですよね?」

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(次回「9、死の魔法」に続く)