英語を日本語に切り替えず、そのまま理解する
英語と日本語の世界観の違い

英語と日本語は「逆」の表現が多い

人間は「先に聞いたもの、考えたもの」から順に処理をする

さて、こちらは一度、お考え下さい。

例えば、お店のレジで「1,500円になります」と言われた時に、皆さんは先に千円札を出しますか、それとも500円を出しますか。

恐らくほとんどの人が、「千円札を先に出す」と思います。

先に2,000円を出し、後で500円を出そうと思っていたら、もうレジの人に計算されてしまった、という経験のある人も多いでしょう。

ただ、もしもこれを「500円と1,000円になります」と言われたら、どうでしょうか。

先に500円を出す人も、出てくるのではないでしょうか。

「意識が変わる」のは確実です。先に「500円」が頭に浮かぶ。

さて、何を言いたいか。

それは、人間は「先に聞こえたものから、考えたものから順に処理をしようとするという習性がある」ということです。

それでは、ここからは英語の話で。

皆さんは英文を読むときに、頭の中で「順番がぐちゃぐちゃ」になりますか?

試してみましょう。

It is important for him to become more patient.

さて、ぐちゃぐちゃになりましたか?

恐らく、受験英語をくぐり抜けた方は、大丈夫だったかと思います。

そして、日本人英語学習者である以上、「彼にとって、もっと我慢強くなることは重要だ」となったはずです。綺麗な日本語訳です。英語はそうするよう、習ってきましたので。

であれば、無意識にこのような順番を辿ったことになります。

  1. 文章を一旦、最後まで眺める。
  2. 「It is … for … to ….」構文だと気づく。
  3. 「for him」を訳し、次に「to become more patient」を訳し、最後に「important」を訳し、全てをつなぎ合わせる。

つまり、英文をこう捉えた。

It is important ❶for him ❷to become more patient.

そう、勝手に、「日本人仕様」に、順番を組み替えているのです。

それは「無意識にこの方式を強制された」、と考えていいでしょう。和訳しろ、と言われた以上、こう組み換えないと、丸がこないからです。

ただ、これは読解では有効ですが、「聞く」時には通用しません。そう、「返り読み」ができないのですから。

こうして、読解の理解方法が「聞く」に対応していないので、日本人は総じてリスニングができなくなってしまっています

それは「音を拾う」とはまた、「別の問題」です。「理解方法」の話。

こうして私たち日本人は、「聞こえた順番通り」に、英語を処理できません。一文章ごとに和訳する、「時間の溜め」が必要になる。

TOEICのリスニングでも、文章が二つ以上続くと、途端に対応できなくなってしまうのです。バタバタするのはそのせい。

そして、「生の会話」はもちろん、リスニング試験とは違います。

そう、話者は二度繰り返しません。英語の会議などで、全くついていけなくなってしまうのは、今までの理解方法が二文以上に対応していなかったからです。

私は別に、英語と日本語の語順が「同じ」なのであれば、従来の理解方法でも全く構わないと思うのです。

ただ、ここまで語順がバラバラである以上、英語を日本語訳で捉えるのは、やはり賢明ではないでしょう。


It is important for him to become more patient.

こうやって、場面で捉えるやり方をしないと、やはり語順通りには理解できません。

そのため、それ相応に訓練しないといけないでしょう。パターンも大量に見ないといけません。ありとあらゆるものを、英語と極力合わせていった方がいい。

幼少期に、絵本やディズニー教材などで学ぶのは、そのため、とても有効なアプローチです。将来、英語を聞いても、バタバタしなくなります。

さて、これはリスニングの話ですが、スピーキングも同じです。

英語と日本語は「逆」の表現がたくさんある

今まで日本人は、英語を話すとき、頭の中で一度「日本語→英語」を描いてきました。つまり、英作文をします。

さて、この時に何が起こってしまうのかというと、一度頭の中に描いた、「日本語の順番通り」に処理をしてしまう、ということです。

例えば「白黒写真」を英語で表現しようとすると、咄嗟にこのような思考回路を描きます。

  1. 「白黒写真」と、まず日本語で考える。
  2. 「白=white」、「黒=black」、「写真=picture」と割り振る。
  3. そのまま繋ぎ合わせて、「white black picture」と考え、口にする。

これが英作文の辿る道です。

しかし、それは日本人が勝手に「白黒写真」と呼んでいるだけであり、英語ネイティブには通用しません。

彼らは白黒写真を、どう呼んでいるのか。


a black and white picture

そう、順番が「黒白」なのです。

つまり、日本語から忠実に英語を作ろうとすると、変な英語になってしまうのは、背負うべき宿命です。そのため、あとで確実に「修復作業」が入ります。

ここを「間違ってもいいんだ、伝わればいいんだ、言葉はただのツールだ」と開き直るか。それは、その人の英語のゴールの位置づけ次第です。

ただ、書店に行くと、「日本人の笑っちゃう英語」みたいな本で溢れているのは、ほぼ全て日本語から英語を紡いでしまったことによるエラーです。

日本人の英語の悲劇の一つは、中学高校と忠実に「英語→日本語」をやってきたのに、英語を話すときに忠実に「日本語→英語」をすると、エラーになってしまうこと。

では、どうすればいいのか、と思われるかもしれません。

それでは皆さんは、どうやって「白黒写真」と覚えたでしょうか?

順番の原理を考えましたか?

なぜ「白黒」なのか。なぜ「犬猫」なのか。なぜ「南北」なのか。

考えた人は、誰一人いないはずです。

当たり前です。なぜなら、こうやって順番を覚えたのですから。

周りがそうやって呼んできたのを、ただ「真似してきた」だけ。

結局、これが全てです。言葉は全部、大人の真似をしてきただけです。

そして、それは英語圏だって同じです。

ただ、「black and white」と呼んできているだけなのです。至ってシンプルな話です。

そのため、多数のネイティブに聞いても「だって、そう呼んできたから」以外の答えは返ってきません。

では、英語を話せるようになるには、どうすればいいか。

もう、これしかないでしょう。


a black and white picture

こうやって、言って覚える。英語の順番を刻む。ネイティブが使っている英語をそのまま口にして覚えていく。

ここを、むやみに全て日本語に訳し、英語を全て日本語から作ろうとすると、順番がひっくり返ってしまうことになります。

すると、先ほどの通り、あとで確実に「修復の作業」が入ってきます。もう一回、ひっくり返さないといけない。

正しいものだけを覚えれば、エラーは起こりようもありません。そして、そのうち、感覚も付いてきます。

「この場合、こう表現するかな」「こんなこと、今まで言ったことないな」

ここに来るまで、英語の感覚を持ってくる。刻む。音読がいいのも、そのためです。

英語と日本語が「逆」の表現一覧

さて、こちらは以前、Instagramでも紹介したものです。

日本語 英語
白黒 black and white
昼夜 night and day
あちこち here and there
あれこれ this and that
前後 back and forth
左右 right and left
貧富 rich and poor
新旧 old and new
犬猫 cats and dogs
父母 mother and father
南北 north and south
需要と供給 supply and demand
飲食 eat and drink
行き来 come and go
紳士淑女 ladies and gentlemen

ざっと調べて、これだけありました。

忠実に「日本語→英語」をしようとすると、英語ネイティブには違和感があるように聞こえてしまいますので、何度も右の部分を口にして覚えましょう

ちなみにですが、最後にある「ladies and gentlemen」は恐らく皆さん、間違わないはずです。

それは、なぜでしょうか。

なぜなら、よくその言葉を映画などでも「聞く」し、「言ったことがある」からです。日本語の「紳士淑女」から組み立てないから、エラーは起きようもありません。

頑張って、声に出して、感覚をつけていきましょう。

日本人が学んできた「英語」とは何だったのか?


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